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海沢渓谷(三ツ釜の滝、ネジレの滝、大滝)

海沢渓谷案内板

海沢渓谷案内板

奥多摩の、奥多摩駅からちょっと離れた所に海沢渓谷(うなざわけいこく)という所がある。ネットでいろいろな人の滝サイトを堪能しているときにとても美しい写真を見つけ、調べてみるとこの海沢渓谷の滝だった。美しい写真に惹かれ、その場所を訪れることにした。
奥多摩のメインストリートをちょっとはずれ、山に向かって細い林道を進む。林道はずっと渓流に沿って走っている。間もなく海沢渓谷の案内板を発見。今まで道の横を流れていた渓流を辿るようだ。案内板のそばには東屋と若干荒れ果てているトイレがあった。案内板からすぐ、10分も歩くと最初の三ツ釜の滝に到着。名前のとおり立派な三段の段瀑で、高さも結構ある。林道からさほど遠くない場所にこんな立派な滝があることが驚きである。ゆっくりじっくりたっぷり観賞する。

正面からでは見えない三ツ釜の滝の釜

正面からでは見えない三ツ釜の滝の釜

この先は山道を登っていく形になる。その山道は三つ釜の滝の横にある階段からはじまるのだが、この位置が絶好の三ツ釜堪能ポイント。三ツ釜の滝の真横に、滝に沿って山道があるので、最初下から見上げるようにしか見えなかった滝が、横から観賞できる。正面から見た時はさほど感じなかった滝の奥行きや見えなかった釜(滝壺)がバッチリ観賞できるのだ。このように様々な角度から見られるのは滝好きとしてはたまらなく嬉しい。三ツ釜の滝の釜は、深いブルーグリーンで、思ったよりも深さがありそうだった。水の麗しさに心が洗われる。正面からだと直線的な流れしか感じられなかったが、横から見ると違った。一度(というか三度?)流れは滝壺に落ち、そこで流れは止まり、穏やかな水面からこぼれるようにまた岩肌を滑り落ちていくのだ。これぞ段瀑ならではの流れである。

神秘的なネジレ滝

神秘的なネジレ滝

三ツ釜の滝を後にして5分も登ると、分岐路に出る。左がネジレの滝へ。右はさらに奥の登山道に続くようだ。ここは次の滝を目指して左へ進む。道は渓流に向かって下っている。すぐに背高く伸びた草むらが割れてネジレの滝が姿を現した。ここは、冒頭に書いたネットで見つけた美しい写真の滝だ。実物は、写真よりもさらに神秘的で、情緒があり、美しかった。その名の通り、奥から流れが右手から左手へ、そこから一度流れが見えなくなり今度は左から右へと捻じれ曲がっている。そそり立つ岩壁が左右にせり出していて、その隙間を陽の光が流れを浮き出すように照らしている。一体どうしたらこんな流れが自然に生み出されるのか。上段と下段の流れには結構奥行きがあるように見える。その空間はどうなっているのか。見えない滝壺があるのか。謎に興味がそそられていてもたってもいられなくなるが、私にその謎が解けるわけでもない。もどかしさがさらに心を惹きつける。どれだけ眺めていても飽きない。しばらくうっとりと眺めていて、ずっとこうしていたいとも思ったがそうもいかない。案内板によるとこの先にもう一つ滝があるはず…。心を鬼にしてその場を離れることにした。

大滝

大滝

分岐路にもどり、登山道の奥へ進む。途中、反対方向から登山の格好をした外国人の方2人組が歩いてきた。向こうから「コンニチハー」と挨拶されて、登山の挨拶は世界共通なんだなぁ~と嬉しくなった。そしてまた分岐路。右はさらに山頂に向かって登山道が続いているらしい「大岳山(悪路)」の文字が…。そうか、悪路なのか…大変そう…。しかし右に「大滝」と書いてある。私の目的はこっち。時間にしてネジレの滝から15分ほど。大滝に到着。これが、思ってた以上にすごい…!大きい!ほぼ直線に勢いよく水しぶきをあげて落ちている。これぞ滝!という形である。静かな山の中、風の音と滝の流れる水の音だけが響いている。滝の飛沫を浴びながらじっとその場にいると心が洗われるよう…。これ、この感じ。私が滝を見ると感じるこの感覚。これが味わえるから、滝はやめられない。ぼーっとその場にいたが、なんだか雲行きがあやしくなってきた。山の天気は変わりやすい。車までそう距離はないが山道には変わりないので、天候が変わらないうちに戻ることにした。
もと来た道を下っていると、遠くから雷の音が鳴り始めた。これはマズイと早足になる。途中熟年夫婦の方や親子連れの方が登ってきた。挨拶したが、天気は下り坂の中、これから山を登るのだろうか…と心配になる。皆さんの無事を祈りながら車まで無事に下山。

天狗岩の滝…林道から

天狗岩の滝…林道から

さて、今回の海沢渓谷は、三ツ釜の滝、ネジレの滝、大滝、それぞれ三者三様の、どれも違う特色のある滝が楽しめた。手軽だけど山道に入った瞬間から自然の別世界に入ったかのように美しい情景が続くのがまた楽しかった。最後に、林道を戻る途中にも滝があった。行くときには気づかなかったけど、大きく立派な滝だ。林道から渓谷に流れ込む滝を覗き込むようにしか見られなかったので全景はわからなかった。林道から外れて渓谷に降りれば見られたかもしれない。しかし細い林道に車をずっと止めて置く訳にもいかず、急いで見える部分だけ写真を撮って足早にその場を去った。後で調べたところ、天狗岩の滝という滝だったらしい。再度訪れることがあったらじっくり眺めたいところである。