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昇仙峡~板敷渓谷(仙娥滝、白髭滝、親子滝、大滝)

滝は渓谷にあり、と少々学習してきた管理人。渓谷をめぐればだいたい滝に出会うことがわかってきた。しかも、渓谷は観光名所になっている場所が多く、情報も得やすく整備されていてめぐりやすい、ということもわかってきた。そこで渓谷に的を絞って観光ガイドブックのページをめくることにした。すると、「全国観光地百選 渓谷の部第一位に選ばれました。」という謳い文句の渓谷が山梨県にあることを発見。とてもとても有名(らしい)昇仙峡である。様々な景勝が楽しめるかの地。クライマックスは日本の滝百選にも選ばれている仙娥滝だということだ。滝百選!もう行くしかない!景勝第一位を横において滝に向かうことにした。
まずは、下調べ。ふむふむ。さすが観光地なだけあって土産物店や駐車場がたくさんある。渓谷はぐるりと一周できるように遊歩道が整備されており、その最後に仙娥滝があるという。私の目的は他を差し置いてでもここ。ここに一番近い駐車場を調べると、たくさんの有料駐車場のなかに無料の公営駐車場があることを突き止めた。

景色に映える仙娥滝

景色に映える仙娥滝

公営駐車場に車を止めると、さすが観光地。日和も良く、たくさんの観光客で賑わっていた。が、この方々は昇仙峡のスタート地点から歩いてきた人たちがほとんど。もう既にゴールの滝を見て、昇仙峡を堪能し、一服お茶をするか土産物を見る人ばかり。私がスタート地点にした駐車場はその流れの逆を行くことになる。駐車場から土産物屋の並びを抜けてほどなく、仙娥滝が現れた。とにかく凄い水量!奇石で形成されている崖を割って太く真っ白な水柱がまっすぐに落ちている。滝の流れを感じるというより、一本の白い柱を見ているような滝だった。新緑の彩と晴れ渡る青い空も相まって余計に白さが際立っているようだった。



さて、滝を十分満喫してから、何かいろいろあるらしい昇仙峡の奥へ、もう少し歩いてみることにした。覚円峰や天狗岩など見て歩いたが、どうもこの先道程が長いらしい。目的の滝は堪能したし、昇仙峡自体はとても素晴らしいのだけれど、ここは滝好きとしてあっさり戻ることにした。もう一度仙娥滝を堪能し、駐車場まで戻ると、ロープウェイがあったので乗ってみた。山の上で虫と闘いながら展望を一望した。天気がとても良かったので、陽だまりにとろけそうになりながら、涼やかな風を受け眼下の景色を楽しんだ。
そして次なる目的地を目指して移動。次はネットで得た情報で、昇仙峡の先に板敷渓谷なるものがあり、そこに滝があるらしいというもの。滝好きとしては是非とも行かなければ!昇仙峡を後にし、山奥に向かって一本道を進む。すると突然右手に板敷渓谷の看板が!慌てて車を止められるスペースのあった路肩まで数十メートル戻り、車を置いて板敷渓谷へと入って行った。

白髭滝

白髭滝

板敷渓谷の入り口は橋にさしかかる道路の横にあり、道路の下に渓流が流れているのでそこに向かって降りていく。すると降りている途中すぐに滝が見えた。まさに道路の真下にあり、全景は見えないし道路の影になってしまっているが、勢いよく水しぶきを上げながら落ちている。落ち口が見えないのが残念だけれど、立派な滝だ。これは白髭滝というらしい。
更に渓谷へと降りてゆくと、渓流まで降りることができた。しかし、いきなり向こう岸へと渡らなければいけないルートである。しかもその渡るための橋が、橋というよりちょいと板数枚つなげて置きました。という程度。これは最初からこういうものなのかそれとも何か自然の力でこうなってしまったのかわからないが、渡らない訳にもいかず、まぁ多少濡れるのはご愛嬌として進むことにした。

親子滝

親子滝

板敷渓谷は昇仙峡と違い、足場は確保してあるけれど観光地化されていないので、自然をすごく感じることができた。涼やかな渓流。新緑の下木漏れ日を時々受けながらも少々鬱蒼と暗い空間。私はとても心地が良かった。滝を目的に来たけれど、渓谷としても十分に楽しめた。
そして白髭滝から5分ほど、親子滝が見えてきた。スケールを大きくないけれど、立派な親子の形。見た途端に、あ、なるほど。親子だ。と思った。





大滝

大滝

親子滝からまた5分ほど、板敷渓谷の最終地点であり主役の滝ともいうべき大滝が現れた。見事な段瀑!奥行きのあるその滝は、奥の流れと手前の流れの表情を見事に変えて流れ落ちている。上段は落ち口から勢いよく噴き出すように水が流れ、下段は岩肌を滑るように落ちている。1つの滝なのに上下でこの違う表情。ちょうど段になっているところを見たかったが私ができるあらゆる角度(ちょっと山の上へ登ってみたり)からは惜しいところで見えない。あぁ!あの空間が見たい!一体どうなっているのか!とてもこの滝の虜になりしばらく眺めていた。時々、渓谷に吹き下りる風がちょうど滝を流れに沿うのか、上段の流れが右へ捻じれたり左へ寄ったり、時たま流れ自体の水しぶきが吹きあげられたりしている。なんと表情豊かな滝だろう!渓谷に流れ落ちる水も美しく清らかで、少し汗ばむくらいのこの日の気候にちょうど良い清涼感を与えてくれる。私はこの空間が断然好きになった。いつまで見ていても飽きない。先に見た仙娥滝の方が水量も多く百選であり、景勝地なのであろうが、私はこちらの滝の方が気に入ってしまった。長い時間、そこにいた。ずっと居ても良いと思うくらいだったがさすがに陽が傾いてきたので、帰り道が危険にならないうちに心残りだが来た道を戻ることにした。

私が長いことそこにいたからかもしれないが、何組かの人々とすれ違った。熟年夫婦らしき人もいたし、学生の集団にも会った。昇仙峡よりはマイナーだけど人が全く来ない訳ではなさそうだった。最後に、来るときに驚いた橋のようなもののところで躊躇している方々に出会った。結局その方々たち(ファミリーかな)はこの足場はとても無理と判断したらしく道路へと戻って行ったのが印象的だった。まぁ、しっかりとした装備と心構えをしていればそんなに大変な道程ではないけれども、やはり軽装では挫けてしまうのかな。私もアウトドアを楽しむための装備に関して全然知識がないけれども、軽装で来てしまったためにあの素晴らしい滝が見られないというのはとても勿体ないことなので、これからは装備をもうちょっと勉強しようと思った。まだまだ修行中の身ですが…。